20年以上前に「るいとう」投資で単元化した銘柄
アラカンが保有している銘柄分析の第29回は、ベネッセホールディングス(9783)です。
- 20年以上前に「るいとう」投資で単元化した銘柄
- 個人情報流出事件の影響で2015年度は赤字転落
- 一人ひとりの「Benesse=よく生きる」をサポートする会社
- コロナ禍で2021年度の業績予測非開示も、配当維持予定
- ベネッセホールディングスの銘柄分析をしてみます
- 株主優待カタログギフトはオリジナリティに富み魅力的
ベネッセホールディングスは「通信教育講座進研ゼミ」を始めとした国内教育事業に、海外事業、介護・保育、語学の4つの事業セグメントを展開する会社です。
アラカンも中学生の頃に「進研ゼミ」、高校生の頃には大学入試模試などでお世話になった会社です。株式購入の歴史は古く、20年くらい前より「るいとう投資」でコツコツ購入してきた歴史があります。
当時、それほど企業研究を熱心にしていた訳ではなく、教育事業に留まらず、介護事業に注力していることに好感して「るいとう」投資をしていて、2014年頃は株価も4000円台、年間配当も95円台に加え株主優待もある好銘柄と感じていました。
個人情報流出事件の影響で2015年度は赤字転落
ところが、2014年7月9日に発覚した、「進研ゼミ」や「こどもちゃれんじ」等の個人情報流出事件によって状況は一転してしまいました。流出した顧客情報は最大で3504万件に及び、株価下落、業績悪化となり、2015年3月期の連結決算は最終損益が、創業以来初の107億円の赤字(前期は199億円の黒字)転落してしまったのです。その後、2017年度に黒字転換したのですが、2019年度に再び業績悪化したことで、株価は2000円台に下落、配当も95円から50円に減配し現在に至ってます。
アラカンは「るいとう」で積み上げた200株のうち、100株は高値で売り抜けれたのですが、残りの100株はホールドしたままの状況です。
一人ひとりの「Benesse=よく生きる」をサポートする会社
ベネッセホールディングスの企業理念は
一人ひとりの「Benesse=よく生きる」の実現に向け
人生のあらゆるステージをサポートしています。
です。
会社概要(楽天証券より)
ベネッセホールディングスは国内教育、海外事業、介護・保育、語学の4つのカンパニーを中心に事業を行う。【事業内容】同社は4つの事業を運営する。国内教育カンパニー事業について、校外学習事業及び学校向け教育事業を行う。校外学習事業では主に、幼児から高校生を対象とした通信教育講座進研ゼミ、こどもちゃれんじ、Challenge English、こどもちゃれんじEnglish、Worldwide Kids等の英語事業や、学習塾・予備校事業等の子供向け英語教室事業を行う。学校向け教育事業では、高校生を対象とした大学入試模擬試験進研模試、学習・進路指導教材スタディーサポート、進路マップ、英語能力テストGTEC(ジーテック)for STUDENTS、小・中学校のコンピュータ活用支援サービス、学校教材としてドリルやテスト等を提供する。また、大学支援事業を行う。海外教育カンパニー事業について、幼児向けを中心とした通信教育事業、教室事業等を行う。介護・保育カンパニー事業について、入居介護サービス事業(高齢者向けホーム及びサービス付き高齢者向け住宅リレの運営)、在宅介護サービス事業、通所介護サービス事業、及び介護研修事業と保育園運営事業、看護師及び介護職の人材紹介派遣業、高齢者向け配食サービス事業を行う。語学カンパニー事業について、語学教育事業、グローバル人材育成事業、留学支援事業、通訳・翻訳事業等を行う。同社はまた、妊娠・出産・育児雑誌「たまごクラブ」、「ひよこクラブ」、生活情報誌「サンキュ!」、直販雑誌「いぬのきもち」、「ねこのきもち」の刊行や、「たまひよSHOP」、「たまひよの内祝」等の通信販売事業、及び女性向けインターネットサイト「ウィメンズパーク」の運営等を行う。
コロナ禍で2021年度の業績予測非開示も、配当維持予定
ベネッセホールディングスの事業セグメントは、国内教育(44.7%)、グローバルこどもちゃれんじ・海外事業(12.6%)、介護・保育(27.4%)、ベルリッツ・語学事業(10.0%)、その他新規事業(5.3%)とバランス良く構成されています。海外事業展開も順調に伸長中で、個人情報流出事件前の利益水準には戻るべく、5カ年の中期経営計画推進中だったのですが、そこに新型コロナショックが襲っていきました。
「会社四季報」直近号の解説記事を紹介いたします。
【低 迷】柱の国内事業は『進研ゼミ』の会員数堅調も、模試中止や学習塾の営業自粛で出足低調。介護は入居率低下、下期挽回するも人件費負担重い。ベルリッツも一時閉鎖で赤字拡大。営業益反落。配当維持。
【ICT化】小中学生の1人1台パソコン配備が加速し、教育用端末学習ソフト『ミライシード』が好調。営業自粛していた介護は7月から活動再開、採用も順調
通信教育である「進研ゼミ」はコロナ禍でも堅調だったようですが、その他の対面式事業は」影響も大きく、2021年3月期 第1四半期の営業利益は52億円の赤字となってしまいました。
第2四半期以降は現状、業績見込み算定が困難で「未定」ながらも、減収減益ながら営業損益は改善を見込んでいます。
そんなベネッセホールディングスを、アラカンの「高配当銘柄ポリシー」基づいて各指標をみていきたいと思います。
ベネッセホールディングスの銘柄分析をしてみます
まずは、私・アラカンの「高配当銘柄ポリシー」から
(このあたりの考え方は公認会計士・足立武志さんが記した著書『ファンダメンタル投資の教科書』を参考にしてます。よろしかったら、ご一読ください。)
銘柄ポリシーに沿って、各項目をみてみます。
1、 売上推移とEPS
売上高、営業利益ともは2020年3月期実績値では、売上微増、営業利益30%アップでした。2021年3月期予想は発表されていないので未定です。EPSは2015年度にマイナスとなり、2017年度にプラス転換しています。以後、事件以前の水準には戻ってきていない状況です。営業利益率は改善されてきたものの4%台と高くありません。2021年3月期は、どう落ち着くか心配です。「進研ゼミ」事業が好調なのは救いですが…。
評価△
2、営業キャッシュフロー
営業キャッシュフローは多少の凸凹はありますが、一貫してプラス続きです。評価◎
3、配当性向
配当性向実績は、赤字転落した時期も減配していなかったのですが、2019年に45円減配となってしまいました。2020年3月実績でも76.59%と高い配当性向でした。評価△
4、ROEとROA
ROEは2020年3月実績値が3.72%、ROAは2020年3月実績値が1.22%と、かなり低めの数字です。評価△
5、PERとPBR
PERは40.57倍、PBRは1.57倍と、買い時ではなさそうです。評価△
6、自己資本比率
自己資本比率は32.73%とターゲットラインに届かず。評価〇
7、有利子負債倍率
有利子負債倍率は0.75倍。負債比率は100%以下ですので、心配のいらない水準です。
評価〇
8、利益剰余金÷総資産
利益剰余金を総資産で割った数字は29.5%とターゲットラインに惜しくも届かず。
利益剰余金は、ここ数年同程度の積み上げに留まってます。評価〇
最後に配当利回りは
配当は、2021年3月期は前期同額の年間50円配当維持を表明してます。現在の配当利回りは1.57%です。長らく年間95円配当を出していた頃は、なかなかの高配当銘柄だったのですが、配当性向もかなり上げていて、株主還元意識の高い会社だとは感じてますが、残念ながら高配当銘柄とはいえない現況です。
株主優待カタログギフトはオリジナリティに富み魅力的
さて、アラカンの「高配当銘柄ポリシー」に基づき、ベネッセホールディングスを分析してみました。長らく教育事業の雄として業界を牽引し、事業の多角化と積極的な海外展開を図り、「一人ひとりの「よく生きる」の実現に向け、生のあらゆるステージをサポート」する会社として魅力に満ちた会社ですね。「るいとう」で積立購入したのは、企業理念や風土に共感していたこともありました。
それだけに個人情報流出事件は残念な事でした。その後の業績推移や財務状況をみるかぎりでは、「傷」を完全に払しょくできていないようです。
ただ、ベネッセホールディングスの株主優待制度はなかなか魅力的です。100株以上保有で、オリジナルカタログから商品を選べます。同社の優待でしか入手できない「しまじろう」グッズや、「ベネッセハウス直島」の優待券がもらえます。この優待制度があることも、単元株をホールドしているモチベーションになってます。
アラカンとしては、高配当株投資を意識する以前から保有している銘柄で、会社自体に好感を抱いていますので、このままホールドしていこうかと考えてます。ただ高配当銘柄とはいえないので、購入はお勧めできない銘柄といえますね。
それでは、また。