社名に「瓦斯」がついてますが、化学セクターの企業です
アラカンが保有している銘柄分析の第42回は、三菱瓦斯化学(4182)です。
- 社名に「瓦斯」がついてますが、化学セクターの企業です
- 日本海に天然ガスで最大級の海洋油ガス田を開発
- ポリカーボネート(DVDの材料)では世界トップシェア
- 2021年3月度は売上減益も、当期純利益は前年プラスを見込む
- 安定配当の継続を表明。年間配当横ばい70円を堅持の方向
- 三菱瓦斯化学の銘柄分析をしてみます
- 財務ピカピカ。配当利回り3%後半、PBR割安圏内入り
三菱ガス化学株式会社は三菱グループの一員として、基礎化学品からファインケミカル、機能材料に至る、幅広い領域に事業を展開しています。
なお、ホームページ等での社名表示は三菱ガス化学ですが、登記上の称号は三菱瓦斯化学株式会社ですので、株式銘柄としての社名表記は三菱瓦斯化学となってます。
社名に「ガス」表記がありますが、東京ガスのようなガス販売をしている電気・ガス業セクターの企業ではなく、天然ガス系の化学品事業を軸とした化学セクターの企業です。
藤井社長のHP冒頭あいさつから
「化学にもとづく幅広い価値の創造を通じて、社会の発展と調和に貢献する」という存在理念のもと、「独自技術に立脚した特色と存在感のある優良化学会社」として、常に新しい技術と価値の創造に挑み続け、社会とともに成長してまいりました。
(中略)
三菱ガス化学グループはグループビジョン「社会と分かち合える価値の創造」のもと、経済的価値のみならず、社会的価値もある共通価値を創造し、持続的な成長の実現を目指していきます。
(以上、同社HPより)
日本海に天然ガスで最大級の海洋油ガス田を開発
三菱瓦斯化学は「基礎化学品事業部門」「機能化学品事業部門」の二つの事業部門の下、メタノールやキシレン、過酸化水素といった基礎化学品から、高機能エンジニアリングプラスチック、発泡プラスチック、半導体パッケージ材料といった機能製品、抗体医薬・発酵食品などのライフサイエンス製品を生産していて、日本海に天然ガスの自社鉱区(新潟県・岩船沖油ガス田)を所有しているほか、サウジアラビアやベネズエラなど海外で、メタノールを合弁方式によって生産しています。
また、鉄が錆びるときに酸素を吸収する原理を応用した脱酸素剤『エージレス®』を世界に先駆けて商品化したことでも知られています。これは食品の鮮度保持などに広く用いられていますので、一般にも身近な製品ですね。
ポリカーボネート(DVDの材料)では世界トップシェア
エンジニアリングプラスチックでは、5大汎用エンプラのうち4種を自社開発技術で製造しています。DVDやCD等の材料となるポリカーボネートでは世界トップシェア、自動車のギアやカムなどの材料となるポリアセタール、家電やOA機器の主要パーツとなるポリフェニレンエーテルといった製品です。
2020年3月期の連結売上構成比は、過酸化水素やポリカーボネートなど機能化学品が32.4%、メタキシリレンジアミン誘導体など芳香族化学品が32.3%、メタノールやMMAなど天然ガス系化学品が26.3%、プリント基板用材料や脱酸素剤『エージレス®』など特殊機能材が8.8%となっています。
会社概要(楽天証券より)
三菱瓦斯化学グループは、化学会社である。【事業内容】同社は5つの事業により構成される。天然ガス系化学品事業は、メタノール、アンモニア、アミン系製品、メタクリル酸系製品、多価アルコール類、酵素・補酵素類、原油等の製造・販売を行う。芳香族化学品事業は、キシレン異性体及びその誘導品等の製造・販売を行う。機能化学品事業は、過酸化水素等工業用無機薬品類、電子工業用薬品類、エンジニアリングプラスチックス等の製造・販売を行う。特殊機能材事業は、プリント配線板用材料、プリント配線板、脱酸素剤 エージレス等の製造・販売を行う。その他の事業は、他の上場関連会社、不動産事業等を含む。
2021年3月度は売上減益も、当期純利益は前年プラスを見込む
三菱瓦斯化学の業績ですが、11月2日に、2021年3月期第2四半期の決算が発表されました。売上高が前期マイナス12.1%、営業利益がマイナス10.4%でしたが、経常利益はプラス41.5%、四半期純利益も75.0%のプラスでした。
これはサウジアラビア合弁事業での一過性費用(70億円)剥落等による持分法損益が改善したことに加え、販管費や税金費用の減少に起因してそうです。
通期業績は売上高がマイナス10.3%の5500億円、営業利益はマイナス15.4%の290億円ですが、当期純利益は13.4%プラスの240億円を見込んでいます。
「会社四季報」直近号の解説記事を紹介いたします。
【減益幅縮小】光学樹脂ポリマーや半導体向け堅調。が、発泡プラスチックや合成樹脂が自動車や住宅向け後退。MMA系も後半の市況回復が想定より鈍い。ただ修繕費下振れ等で営業減益幅縮小。持分益は低調。
【中国市場】半導体向け超純過酸化水素は継続的な需要拡大見込み中国への進出を本格検討。従来の主要事業4カンパニーを2部門へ統合し事業間シナジーの創出推進。
安定配当の継続を表明。年間配当横ばい70円を堅持の方向
三菱瓦斯化学は、三菱グループの中では目立たない地味な印象の企業ですが、コロナの影響を受けながらも、当期純利益は前年度プラス予想を見込む等、なかなか手堅い企業だと思われます。
株主還元も安定配当の継続を基本としています。内部留保と株主還元の水準を勘案して、自己株買いも機動的に実施していくことを表明してます。2021年3月の配当は、前年横ばいの年間70円を予想してます。
当社は、株主の皆様の利益を重要な経営方針の一つとして位置付けており、持続的な成長の実現に向け、引き続き企業体質の改善に取り組み、企業価値の向上に努めています。
配当金については、普通株式については連結配当性向30%を目安に安定的・継続的に配当を行うよう努めていきます
(同社HPより)
そんな三菱瓦斯化学を、アラカンの「高配当銘柄ポリシー」基づいて各指標をみていきたいと思います。
三菱瓦斯化学の銘柄分析をしてみます
まずは、私・アラカンの「高配当銘柄ポリシー」から
(このあたりの考え方は公認会計士・足立武志さんが記した著書『ファンダメンタル投資の教科書』を参考にしてます。よろしかったら、ご一読ください。)
銘柄ポリシーに沿って、各項目をみてみます。
1、売上推移とEPS
売上高の2021年3月予想値は前年度マイナス10.33%の5500億円、営業利益はマイナス15.35%の280億円です。
当期純利益予想値は上記したように前年度プラス13.43%の240億円を見込んでます。EPSも2020年3月度に前年マイナス60.96%の100.5円でしたが、2021年度3月予想値は115.38円とプラス14.81%を見込んでいます。評価〇
2、営業キャッシュフロー
営業キャッシュフローは凸凹がありますが、一貫してプラス続きで、評価◎
3、配当性向
配当性向実績は、ながらく10~20%でしたが、2020年3月期に70.24%と大幅上昇してしまいました。2021年3月期予想値は60.5%ですので改善されつつあります。
評価〇
4、ROEとROA
ROEは2021年3月予測値が4.79%、ROAの2021年3月予測値は3.07%と、いずれも基準値に届かず(ROAは前年より改善してますが…)。評価△
5、PERとPBR
PERは15.77倍、PBRは0.75倍と割安な水準ですね。評価◎
6、自己資本比率
自己資本比率は2020年3月実績で63.8%と基準値を大きく上回っています。
評価◎
7、有利子負債倍率
有利子負債倍率は0.19倍と大変低い水準です。評価◎
8、利益剰余金÷総資産
利益剰余金を総資産で割った数字は56.9%とターゲットラインを超えてます。利益剰余金も少しずつ積み上っています。ちなみに流動比率も219.27%と余裕があります。
評価◎
最後に配当利回りは
配当は上記したように、前年横ばいの年間70円を予想してます。現在の株価で割った配当利回りは3.85%です。なかなかの高配当銘柄ですね。
財務ピカピカ。配当利回り3%後半、PBR割安圏内入り
さて、アラカンの「高配当銘柄ポリシー」に基づき三菱瓦斯化学を分析してみました。
株チューバ―さんが動画内で取り上げていたことをきっかけに、銘柄研究をしてみたところ、非常に地味な企業ではありますが、財務はピカピカで、業績もコロナ禍で最終利益は前年プラス見込みという手堅さでがぜん注目した銘柄です。
現在、PBRが1倍を切り、RSIも短期が33%、長期が19%という割安圏でしたので、高配当銘柄として購入してみました。
(当初はポーラ・オルビスを検討していたのですが、減配してしまったので、方向転換しました)
それでは、また。