ソフトバンクGがボーダフォン日本を買収して2006年に誕生
アラカンが保有している銘柄分析の第44回は、ソフトバンク(9434)です。
- ソフトバンクGがボーダフォン日本を買収して2006年に誕生
- 傘下にヤフー、LINEモバイル。現在は一般株主が40%弱に
- 2021年3月度は売上、営業利益、当期純利益とも増収増益の見込み
- 「毎年減配ナシ。総還元性向85%程度」年間配当は1円増の86円予想
- ソフトバンクの銘柄分析をしてみます
- 財務的には??がつくものの、稼ぐ力はバッチリ!!
ソフトバンク株式会社(SoftBank Corp.)は、ソフトバンクグループ株式会社傘下の会社で、日本で携帯電話などの無線通信サービス(移動体通信事業者)および長距離、国際通信を提供する日本の大手電気通信事業者です。2015年7月1日にソフトバンクモバイル株式会社から商号変更してます。
2006年3月、BBモバイルによる携帯電話事業参入を計画していたソフトバンクグループが、英ボーダフォンからボーダフォン株式会社の株式と資産・負債を日本企業として最高額となる1兆7500億円で買収し、同年10月1日をもってボーダフォン日本法人はソフトバンクモバイル、日本テレコムはソフトバンクテレコムへ社名を変更しました。
2015年4月1日付で、ソフトバンクモバイルがソフトバンクBB、ソフトバンクテレコム、ワイモバイルを吸収合併。これに伴い、完全親会社のBBモバイルの出資が75.81%となり、ソフトバンク本体が24.18%(グループ合算で99.99%)、その他0.01%の出資構成となった。また、BBおよびワイモバイル(旧・イー・アクセス)のADSL事業、テレコムの長距離・国際事業といった固定系通信事業も手掛けることになりました。
傘下にヤフー、LINEモバイル。現在は一般株主が40%弱に
その後、2018年12月に東証一部に上場しました。現在では連結子会社にヤフーを運営するZホールディングス(ASKUL、ZOZOも傘下にいます)や、PayPay、LINEモバイルに、私アラカンも口座を保有しているOne Tap BUY等の企業があります。
筆頭株主はソフトバンクグループジャパンで、約62%の株式を保有してましたが、2020年9月にPOで10億株を売り出し40.2%、一般株主が59.8%という株主構成になりました。
収益源の多様化を推し進めていて、非通信領域の強化を進めています。2019年度の売上高のうちモバイル通信料は29%と2017年度の38%から低下してきています。新型コロナウィルスの影響を受けた2020年度上半期実績でも、モバイル通信を中心としたコンシューマ事業は減収でしたが、ヤフー事業(15%増)、法人事業(7%増)が増収し、前年同期を超えてきてます。
会社概要(楽天証券より)
ソフトバンクグループは、主にコンシューマ事業、法人事業及び流通事業を行う。【事業内容】3つの事業セグメントで構成される。コンシューマ事業は、個人顧客を対象に、移動通信サービス及びブロードバンドサービスの提供を行う。移動通信サービスについては、「SoftBank」、「Y!mobile」及び「LINEモバイル」ブランドの移動通信サービスの提供、並びに携帯・タブレット等のモバイル端末の販売を行う。ブロードバンドサービスについては、「SoftBank 光」を始めとするインターネットサービスの提供及び関連する宅内機器の販売・レンタルを行う。法人事業は、法人顧客を対象に、移動通信サービス、音声・固定電話サービス、データ伝送・専用サービス、通信事業者及び一般事業者向けの電気通信コンサルティング・工事、電気通信設備の賃貸・保守、ハウジング、データセンター事業、通信機器の販売・レンタル等の事業を行う。流通事業は、主に法人顧客向けの情報通信技術(ICT)、クラウド、モノのインターネット(IoT)ソリューション等に対応したハードウエア、ソフトウエア、サービス等の商材、個人顧客向けのモバイルアクセサリー、IoTプロダクト等の商材を提供する。また、決済代行サービス、スマートフォン専業証券事業、パブリッククラウドサービスの設計・開発事業、オンラインビジネスのソリューション及びサービスの提供、デジタルメディア・デジタルコンテンツの企画・制作等も行う。
2021年3月度は売上、営業利益、当期純利益とも増収増益の見込み
ソフトバンクの業績ですが、2021年3月期第2四半期の決算短信によると、売上高は前年同期比プラス2.3%、営業利益はプラス6.8%、四半期包括利益はプラス1.9%とコロナ禍にいおいても順調な伸びを示してます。通期業績予想では売上高は前期0.8%プラスの4兆9000万円、営業利益は前期0.9%プラスの9200億円、当期純利益は前期2.5%プラスの4850億円を見込んでいます。増収・増益に向けて順調に進捗しているようです。
「会社四季報」直近号の解説記事を紹介いたします。
【着実増】期初営業自粛で端末販売減るも販促費抑制で補う。通信は料金値下げ影響を契約数増でこなし堅調。テレワーク追い風で法人伸長。ヤフーEC好調、ZOZOフル寄与。営業益着実増。ペイペイ持分損減。
【売却一段落】親会社SBGが当社株21%を売却へ、親子関係は維持。今後の追加売却はしない意向。ZHD・LINE経営統合は21年3月に延期、今期業績影響は軽微。
「毎年減配ナシ。総還元性向85%程度」年間配当は1円増の86円予想
ソフトバンクの株主還元方針は「毎年減配ナシ。総還元性向85%程度」を宣言してます。宣言通りに2020年度の年間配当は前年1円増の86円を予想してます。現在、菅総理誕生により携帯会社銘柄は株価が下落し、PO実施も相まって下落を続け、ソフトバンク株は他社と比べても戻りきれていない状況ではあります。
アラカンは2018年の上場時にIPOで200株購入しました。個人投資家の比率が高いこともあるのでしょうか? 公募価格近くになると売りがでるのでしょうね。なかなか公募価格を超えることができません。買い時については後悔しきりではありますが、長期保有のインカムゲイン銘柄としては安定高配当継続中ですので、ホールド一本です。
そんなソフトバンクを、アラカンの「高配当銘柄ポリシー」基づいて各指標をみていきたいと思います。
ソフトバンクの銘柄分析をしてみます
まずは、私・アラカンの「高配当銘柄ポリシー」から
(このあたりの考え方は公認会計士・足立武志さんが記した著書『ファンダメンタル投資の教科書』を参考にしてます。よろしかったら、ご一読ください。)
銘柄ポリシーに沿って、各項目をみてみます。
1、売上推移とEPS
営業収益の2021年3月予想値は前年度プラス0.80%の4兆9000億円、営業利益はプラス0.91%の9200億円です。
当期純利益予想値はプラス2.51%の4850億円を見込んでます。包括利益(IFRS)はプラス2.87%の4682億円です。EPSも似たような数値で、前年度プラス2.67%の101.92円を見込んでます。菅総理に叩かれた営業利益率も0.03%増の18.78%見込みと稼ぐ力がある企業です。評価◎
2、営業キャッシュフロー
上場直後の2018年3月度はマイナスでしたが、2019~2020年度はプラスです。
評価○
3、配当性向
配当性向実績は、もの凄く凹凸がありますが、社の方針として総還元性向を85%と設定している(ちなみに2020年度の総還元性向は98.54%でした)ので、これはこれで良いのですが、客観判断としては、評価△
4、ROEとROA
ROEは2021年3月予測値が43.05%と物凄く高いです。ROAの2021年3月予測値は4.62%と基準値に少し届かずという水準です。やはり稼ぐ力はありますね。
評価○
5、PERとPBR
(PERは12.55倍、PBRは5.4倍とPERはターゲットライン内です。PBR値と較べて現状の株価はかなり割安な水準ともいえます。評価○
6、自己資本比率
自己資本比率は2020年3月実績で10.2%と基準値を大きく下回っています。積極的な投資やM&Aを推進するにあたって借り入れが大きくなってきていることが原因でしょうか。
2019年と2020年の貸借対照表を比べてみても、流動負債、固定負債ともに相当に大きくなっていることが分かります。ちなみに流動比率は74.82%と芳しくない数字です。
評価△
7、有利子負債倍率
有利子負債倍率は負債が増えてますので、高い倍率です。5%を超えてますので、この数字を見るだけでは健全な指標とはいえません。評価×
8、利益剰余金÷資産
利益剰余金を資産で割った数字は10%とターゲットラインを下回っています。この数値も芳しくないですね。ただ、利益剰余金は1兆円を超えてますし、現金等も1兆円を超えてますので、営業利益率やROEの高さからして稼ぐ力はあるので、そんなに心配する必要はないのかもしれません。評価△
最後に配当利回りは
配当は上記したように、前年1円増配の年間86円を予想してます。現在の株価で割った配当利回りは6.72%です。かなりの高配当銘柄ですね。
財務的には??がつくものの、稼ぐ力はバッチリ!!
さて、アラカンの「高配当銘柄ポリシー」に基づきソフトバンクを分析してみました。
正直、財務的には???という評価をしなければいけない銘柄ですが、売上、利益ともにコロナ禍でも前年プラスで、利益率も高い会社なので、少々、荒っぽい指標とはなりますが、企業風土ともいえるのでしょうか。株価も割安水準ですし、配当妙味もありますし、十分に投資対象といえる銘柄だと思われます。
通信事業者といいながら、ヤフー事業や法人事業でしっかり稼いでいる実情が分かりました。また、決済サービス「PayPay」事業が、今後の同社の成長の大きなドライバーになっていくのだと感じてます。
アラカンとしては、IPOで購入した200株が、公募価格を突き抜けていく日が来ることを祈りながらも、高配当株銘柄として含み損には目をつぶり長期ホールドしていくつもりでいます。
それでは、また。