日経高配当株ETFにも採用された歴史の長い化学メーカ-
アラカンが保有している銘柄分析の第25回は、宇部興産(4208)です。
- 日経高配当株ETFにも採用された歴史の長い化学メーカ-
- 5%を超える配当利回り。ドコモ株消滅で代替銘柄に一躍浮上
- 売上6000億円を超える大企業も、コロナの影響は免れず減益
- 配当性向30%を目指す株主還元方針
- 宇部興産の銘柄分析をしてみます
- 配当90円を堅持予定。PBRからも絶好の買い場入りか?
宇部興産は1897(明治30)年に、山口県宇部の炭田を開発するために、地元の人々が出資してつくった匿名組合組織「沖ノ山炭鉱」の創業から始まった歴史の古い会社です。現在は『化学』『建設資材』『機械』の3事業を展開していて、国内では宇部のほかに千葉、堺、伊佐(山口)、苅田(福岡)に工場を持ち、海外ではスペイン、タイにカプロラクタムやナイロン樹脂、ファインケミカルなどの生産拠点を設け、グローバルな市場で活動しています。
3事業セグメントを中心に多角的な経営を行っていて、セメントから医薬品まで幅広い製品を作っている化学メーカーです。ナイロン原料では世界大手にランクインしています。また、高配当銘柄としてNEXT FUNDS日経平均高配当株50指数連動型上場投信の銘柄にも組み込まれています。
5%を超える配当利回り。ドコモ株消滅で代替銘柄に一躍浮上
アラカンは、前回紹介した積水ハウスと同様にドコモ上場廃止による代替銘柄の一つとして、高配当銘柄である宇部興産も単元化を狙っています。
既にSBIネオモバイル証券の定期買い付け銘柄として、1株ずつ買い付けをしてきた銘柄ですが、この機会に改めてファンダメンタル分析をしてみたいと思います。
会社概要(楽天証券より)
宇部興産グループは、主に化学、医薬、建設資材、機械、エネルギー・環境などの事業を行う。【事業内容】同社は6つの事業を運営する。化学事業において、同社はカプロラクタム、工業薬品、ポリブタジエン(合成ゴム)、電池材料、ファインケミカル、ポリイミド、機能品の製造、販売を行う。医薬事業において、同社は医薬品(原体・中間体)の製造、販売を行う。建設資材事業において、同社はセメント、石灰石、建材関連製品の製造・販売、資源リサイクルとして廃棄物の利用を行う。機械事業において、 子会社宇部興産機械は機械事業を統括するとともに成形機、産業機械(運搬機、粉砕・破砕機)、橋梁・鉄構の製造、販売を行う。ウベ・マシナリー,インコーポレーテッドは米国で油圧機器の組立、販売を行う。宇部スチールは製鋼品及び鋳造品の製造、販売を行う。福島製作所は舶用機械及び産業機械の製造、販売を行う。エネルギー・環境事業において、同社は石炭の輸入、販売、コールセンターの運営、電力卸供給事業(IPP)を含む電力供給事業を行う。宇部シーアンドエーは豪州炭等の販売を行う。その他事業において、 同社は不動産の開発、売買、賃貸および管理等を行う。
売上6000億円を超える大企業も、コロナの影響は免れず減益
長い企業歴史を持ち、売上高は6000億円を超え、化学メーカー業績ランキングで18位の規模を誇る宇部興産ですが、やはり新型コロナウイルスの影響を免れることはできず、業績を落としています。
「会社四季報」直近号の解説記事を紹介いたします。
解説記事【続落】ナイロン樹脂は食品包装向け堅調だが、前半厳しい自動車向け補えず後退。合成ゴムも同様に苦戦。カプロラクタムは衣料繊維需要減や市況悪化で縮む。石灰石の鉄鋼向け下落も痛い。営業益続落。【付加価値】合成ゴムはタイヤメーカーと新規グレード開発推進し差別化で競争力強化を図る。注力商材ポリイミドは市場成長見据えディスプレーや太陽電池向け注力へ。
配当性向30%を目指す株主還元方針
2021年3月期第1四半期の決算短信によると、売上高は前年比マイナス17.5%と大きく下落しました。が、通期予想値ではマイナス8.1%と、かなり盛り返す見込みです。後述しますが、財務状況は悪くなく、株主還元の意識が高い会社として、配当性向30%以上を目指すことを標榜されてますので、高配当株投資家として注目に値する企業だと考えます。
株主還元に関する基本方針
当社は配当の実施を株主に対する重要責務として認識し、業績に対応した配当を行うことを基本方針としています。一方、株主の中長期的な利益確保を図る上で、財務体質の更なる改善や将来の設備投資に備えた自己資本の充実も重要と考えていますので、これらを総合的に勘案して株主総会に付議する株主配当案を決定しています。
2019年度を初年度とする中期経営計画「Vision UBE 2025 ~Prime Phase~」においては、連結総還元性向30%以上およびDOE(株主資本配当率)2.5%以上を目指します。
(宇部興産 HPより)
現状、2021年3月の配当は前年同様の年間90円を予定してます。後述しますが、株価が低下したため、PBRは0.58倍と割安な水準に入り、RSIも20%に近づいてきたので、買い場に入ったかなと考えてます。
そんな宇部興産を、アラカンの「高配当銘柄ポリシー」基づいて各指標をみていきたいと思います。
宇部興産の銘柄分析をしてみます
まずは、私・アラカンの「高配当銘柄ポリシー」から
(このあたりの考え方は公認会計士・足立武志さんが記した著書『ファンダメンタル投資の教科書』を参考にしてます。よろしかったら、ご一読ください。)
銘柄ポリシーに沿って、各項目をみてみます。
1、 売上推移とEPS
売上高、営業利益ともは2021年3月期は前年より減収見込みです。売上高8.07%、営業利益は23.6%マイナスの予定です。業績は結構凸凹がある会社ですね。2021年3月期はコロナ禍の影響がモロに出た印象です。営業利益率は4.23%と今一歩のところではあります。EPSも営業利益に準じたトレンドとなってます。評価△
2、営業キャッシュフロー
営業キャッシュフローは一貫してプラス続きです。評価◎
3、配当性向
配当性向実績は、20%台が続いてきましたが、2020年度は55.1%でした。「株主還元に関する基本方針」では30%以上を目指すと標榜されてます。評価〇
4、ROEとROA
ROEは2021年3月予測値が4.25%、ROAは2021年1月予測値が1.93%とターゲットラインには届かず。評価△
5、PERとPBR
PERは12.79倍、PBRは0.54倍と割安な水準です。評価◎
6、自己資本比率
自己資本比率は45.7%とターゲットラインである40%を超えてます。評価◎
7、有利子負債倍率
有利子負債倍率は0.60倍と低い水準ですね。評価◎
8、利益剰余金÷総資産
利益剰余金を総資産で割った数字は33.8%とターゲットライン超え。評価◎
最後に配当利回りは
配当は上記したように、2021年3月に年間90円の配当を予定してます。前4年は連続増配中でしたが、さすがに業績マイナスの環境では増配は難しいところです。「株主還元に関する基本方針」から横ばいの90円配当を堅持できれば十分かと感じます、配当利回りは前述したように5.08%と高配当銘柄といえます。コロナが終息すれば、株主還元意識が高い会社なので、再び増配基調となる可能性もあると思います。
す。
配当90円を堅持予定。PBRからも絶好の買い場入りか?
さて、アラカンの「高配当銘柄ポリシー」に基づき、宇部興産を分析してみました。
歴史の長い会社ですが、多彩な事業ポートフォリオを持ち、常に新しい事業開発を試みるアグレッシブな会社という印象を受けました。
コロナの影響で業績ダウンしたことで、株価は1700円台と2018年の3500円台から半値近くになってます。PBRも0.54倍と大変割安な水準です。また、株主還元意識が高い企業方針にも共感を覚えます。
アラカンとしては、現在、SBIネオモバイル証券で1株定期買い付け銘柄の一つではありますが、PBRが0.5倍と買いやすい局面になってきたことと、5%を超える配当利回りからして、ドコモ株分の代替銘柄として、タイミングを見計らって単元化することを狙っていこうかと考えてます。
それでは、また。