破綻した同ブランドの米国法人は全く関係のない別の流通企業だった
アラカンが保有している銘柄分析の第12回は、センチュリー21・ジャパン(8898)です。
- 破綻した同ブランドの米国法人は全く関係のない別の流通企業だった
- 両学長のポートフォリオで再認識した銘柄
- センチュリー21・ジャパンの銘柄分析をしてみます
- 売上、利益は前年比マイナスも、財務面はピカピカ
センチュリー21は、1971年に米国で誕生し、世界83カ国に展開する世界最大の不動産仲介ネットワークです。センチュリー21・ジャパンは、センチュリー21国際本部とフランチャイズ契約にある日本におけるセンチュリー21のフランチャイザー(日本本部)として、1983年に設立、2001年にジャスダックに上場しています。国内に直営店を有せず、フランチャイズの本部機能のみの事業を行っているのは、同社の最大の特徴で2020年6月末現在では全国に971のFC店舗を誇ります。伊藤忠商事が筆頭株主として46.4%の株式を保有しています。
会社概要(楽天証券より)センチュリー21・ジャパンは、主に不動産フランチャイズ事業を行う。【事業内容】不動産仲介業のフランチャイズシステムである「センチュリー21マーク等」及び「センチュリー21システム」を加盟店に提供する。主にフランチャイズ加盟店の募集、フランチャイズ加盟店の経営者、管理者及び営業スタッフに対する教育・研修サービス、各種情報システムの提供、テレビコマーシャル等の共同広告の実施、加盟店及び加盟店の顧客に対する金融・保険サービスの斡旋、並びに加盟店をバックアップするための各種サービス業務の実施を行う。
9月11日付けのニュースで、「米老舗衣料センチュリー21が経営破綻 !」という情報が配信され、一瞬ヒヤッとしたのですが、米国にセンチュリー21という会社は複数存在していて、破綻したのはディスカウント衣料品販売の会社で、不動産仲介会社とは全く関係ないということで、安心しました。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63715650R10C20A9000000/
(日経電子版より)
不動産関連業種は、景気動向に敏感で、有利子負債倍率が高く、自己資本比率が低い傾向があって長期投資銘柄として逡巡しがちになりがちですが、センチュリー21・ジャパンは不動産流通に特化し、かつフランチャイズ・ビジネスに特化したマーケティングの会社といった側面が強く、後述しますが、財務面では安定度のある企業です。
ただ、新型コロナウイルスの影響でFC加盟店の営業活動が低下した関係で、2021年3月予測値で営業収益(売上高ではありません)と営業利益とも前年より低下し、8月27日の同社業績修正発表でも、2021年3月期の業績予想は経常利益(非連結)が前期比24.7%減の8.8億円に減る見通しとして
業績悪化に伴い、従来未定としていた今期の上期配当を20円(前年同期は25円)実施するとし、従来未定としていた下期配当も20円実施する方針とした。年間配当は前期比10円減の40円に減配となる。
(センチュリー21・ジャパン HPより)
と、残念ながら、10円減配の年間配当40円となってしまいました。
両学長のポートフォリオで再認識した銘柄
センチュリー21・ジャパンは、積極的なTVCM展開等で名前をよく聞く会社ではありますが、その実像は余りよく知らない会社でした。おなじみリベラルアーツ大学・両学長のポートフォリオ銘柄の一つとして取り上げられていたことから、リサーチしてみました。
↓↓両学長が初めて上梓した一冊。投資指南以上に支出を減らす項目が秀逸です。
分析してみたところ、ユニークな経営内容(昨今はハウスバックという新しい商品が収益に寄与しているようです)、と良好な財務面から、アラカンがSBIネオモバイル証券で開始した「1株投資定期買い付け」の一銘柄とさせていただきました。(まだ2株しか保有しておりませんが・・・)
そんなセンチュリー21・ジャパンを、アラカンの「高配当銘柄ポリシー」基づいて各指標をみていきたいと思います。
センチュリー21・ジャパンの銘柄分析をしてみます
まずは、私・アラカンの「高配当銘柄ポリシー」から
(このあたりの考え方は公認会計士・足立武志さんが記した著書『ファンダメンタル投資の教科書』を参考にしてます。よろしかったら、ご一読ください。)
銘柄ポリシーに沿って、各項目をみてみます。
1、 売上推移とEPS
営業収益、営業利益ともに2020年3月までは順調な成長を続けてきました。(営業利益率は20%を超える優良さで、実は2021年3月期予想も20%を超えてます)。新型コロナウイルスの影響でFC加盟店の営業活動が鈍化せざるえなかった影響で、2021年3月期は営業収益で前年マイナス8.37%、営業利益マイナス28.17%の予想値となりました。ただEPSは2.49%アップの予想値となってます。予測値でも十分黒字水準ですが、減配の最大要因でもあるので、評価△
2、営業キャッシュフロー
営業キャッシュフローは、凸凹がありますが、2020年3月までは基本プラスなので、評価◎
3、配当性向
配当性向実績は、50~60%台で、2020年3月実績では90%台と危険な水域に達してました。これも減配の大きな要因の一つで、評価△
4、ROEとROA
ROEは2021年3月予想値が9.98%、ROAは2021年3月予想値が8.99と、ともにまずまずの水準です。評価は〇
5、PERとPBR
PERは19.69倍、PBRは1.96倍と、基準値を超えてしまっているので、評価〇
6、自己資本比率
自己資本比率は88.9%とターゲットラインの40%を大幅超え。評価◎
7、有利子負債倍率
ほぼ無借金経営です。評価◎
8、利益剰余金÷総資産
利益剰余金を総資産で割った数字は82.1%と基準点を大幅クリア。利益剰余金も年々増加していて、評価◎
最後に配当利回りは
配当は、上記したように10円減配の年間40円となりましたが、現状でも配当利回りは3.62%と高配当株銘柄をキープしてます。配当性向が高いのが難点ですが、財務面は大変優れているので、長期投資には安心な銘柄ではないでしょうか。
売上、利益は前年比マイナスも、財務面はピカピカ
さて、アラカンの「高配当銘柄ポリシー」に基づき、センチュリー21・ジャパンを分析してみました。不動産関連銘柄は景気動向に大きく左右されますが、同社は不動産流通業かつフランチャイズ経営なので、本体は素軽い体質をもっていて財務面はピカピカです。新型コロナウイルスの影響を受け、減収減配となりましたが、それでも変わらず高配当株銘柄でもあるので、セクター分散の一つからポートフォリオの一つに入れても良い銘柄だと思われます、
それでは、また。