世界8位、日本では断トツ。3兆円超えの化学メーカー
アラカンが保有している銘柄分析の第30回は、三菱ケミカルホールディングス(4188)です。
- 世界8位、日本では断トツ。3兆円超えの化学メーカー
- サステナビリティ向上のため独自指針「KAITEKI経営」を導入
- コロナ禍で2021年度は減益見込み。配当は12円減配予定
- 三菱ケミカルホールディングスの銘柄分析をしてみます
- 買いやすい価格で高配当ながらも、財務は厳しめでした
- 閑話休題。ドコモTOB応募手続き書類が届きました
三菱ケミカルホールディングスは総合化学首位。三菱化学・三菱レイヨン・三菱樹脂が合併した三菱ケミカルを中核に、田辺三菱製薬、日本酸素(旧社名・大陽日酸)、生命科学インスティテュート(LSII)を傘下にもつ持株会社です。
日本最大の総合化学企業にして、ダウケミカル・BASF・デュポン・バイエルなどの大手に続く。2019年の世界の化学業界の業績「グローバルトップ50」では、273億5300万ドルで8位にランクインしてます。
日本の化学メーカーの中でも、連結売上が3兆円を超える断然トップの大企業ですね。
企業理念は
人、社会、そして地球の心地よさがずっと続いていくことをめざし、Sustainability、Health、Comfortを価値基準として、グローバルにイノベーション力を結集し、ソリューションを提供していきます。
とありまして、
2025年のビジョンとして、「"Good Chemistry"を基盤として"KAITEKI"を実現する企業を目指す」と掲げています。従来の営業利益やROAなどの基礎的経営指標のほかに、MOS指標と呼ばれるSustainability(Green)、Health、Comfortにより、総合的な企業価値を定量化する独自の経営手法「KAITEKI経営」を実践しています。
サステナビリティ向上のため独自指針「KAITEKI経営」を導入
現在注目されているサステナビリティの向上を目指す経営方針は立派なことだと思われます。ただ、素材製造メーカーなので、あらゆる素材を社会に提供しているという点で、最終製品の売れ行きが反響する景気敏感株ともいえますね。新型コロナウイルスの影響は、これだけの大企業でも免れることはできなかったようです。
会社概要(楽天証券より)
三菱ケミカルホールディングスは機能製品、ヘルスケア及び素材事業に従事する。【事業内容】4つのセグメントを通じて事業を行う。機能商品セグメントは、機能部材事業と機能化学事業を行う。機能部材事業の製品は、情電・ディスプレイ、高機能フィルム、環境・生活ソリューション、高機能成形材料などを含む。機能化学事業の製品は、高機能ポリマー、高機能化学、新エネルギーなどを含む。ケミカルズセグメントは、メタクリル酸メチル(MMA)事業、石化事業及び炭素事業を行う。産業ガスセグメントは、鉄鋼、化学、エレクトロニクス産業向けなどのガス事業及びステンレス魔法瓶など家庭用品の製造等の事業を行う。ヘルスケアセグメントは、医療用医薬品の研究開発・製造を行う医薬品事業及び臨床検査の受託、診断薬・診断機器の製造、カプセル・製剤関連機器の製造、医薬原薬・中間体の製造を行うライフサイエンス事業を含む。その他は、エンジニアリング等に関する研究開発を行う。
コロナ禍で2021年度は減益見込み。配当は12円減配予定
2021年3月期の第1四半期決算短信では、売上で21.1%、営業利益で66.1%の前期マイナスとなりました。やはり景気敏感な企業なのでしょうね。一方、コロナ禍でも少しずつ世の中が動き出したことにより、通期見込みでは売上6.9%、営業利益5.0%とマイナスではありますが、随分と改善されてきているようです。
「会社四季報」直近号の解説記事を紹介いたします。
解説記事【連続減益】汎用石化は市況悪化響き赤字拡大。自動車減産受け、高機能プラスチックや機能樹脂が前半数量減。アクリル樹脂原料は前半売価低迷、徐々に戻すが会社想定水準は楽観的。医薬系軟調。営業益続落。
【ワクチン】田辺製薬がカナダで開発中のコロナワクチンは21年下期以降の貢献見込む。半導体関連の高品質ポリエステルフィルムは耐久性生かし車載向け横展開視野。
なお、配当は早々に前年からの減配予想を出してます。前年の年額32円から12円減配の24円です。
そんな三菱ケミカルホールディングスを、アラカンの「高配当銘柄ポリシー」基づいて各指標をみていきたいと思います。
三菱ケミカルホールディングスの銘柄分析をしてみます
まずは、私・アラカンの「高配当銘柄ポリシー」から
(このあたりの考え方は公認会計士・足立武志さんが記した著書『ファンダメンタル投資の教科書』を参考にしてます。よろしかったら、ご一読ください。)
銘柄ポリシーに沿って、各項目をみてみます。
1、 売上推移とEPS
売上高、営業利益ともは2021年3月期予想値では、それぞれ6.88%、5.05%のマイナスを見込んでいます。営業利益率の見込み4.11%予想、ここ10年10%を超えたことはありません。EPSは凸凹がかなり大きいです。ここ2年はダウントレンドですね。
評価△
2、営業キャッシュフロー
営業キャッシュフローは多少の凸凹はありますが、一貫してプラス続きです。評価◎
3、配当性向
配当性向実績は。かなり凸凹が大きく15%から87%までバラエティーに富んだ数字の後、2020年3月期は105.04%と100%超えしてしまいました。2021年3月期減配はやむなしでしょうか。評価×
4、ROEとROA
ROEは2021年3月予測値が4.2%、ROAは2021年3月予測値が0・95%と、かなり低めの数字です。評価△
5、PERとPBR
PERは17.8倍、PBRは0.75倍と、PBRは1倍を切ってます。評価〇
6、自己資本比率
自己資本比率は22.8%とターゲットラインに届かず。評価△
7、有利子負債倍率
有利子負債倍率は2.13倍と少し心配な状況。ただ流動比率も106.89%と安全な数字といえないですね。
評価△
8、利益剰余金÷総資産
利益剰余金を総資産で割った数字は20.8%とターゲットラインに届かず。ただ
利益剰余金が1兆円を超えてますので、支払い能力に問題はないと思います。評価△
最後に配当利回りは
配当は、2021年3月期は前期12円減配の24円を予定してます。現在の配当利回りは3.9%です。
買いやすい価格で高配当ながらも、財務は厳しめでした
さて、アラカンの「高配当銘柄ポリシー」に基づき、三菱ケミカルホールディングスを分析してみました。化学業界のリーディングカンパニーとして3兆円を超える売上を誇る大企業ですが、財務的にこれほど芳しくないとは予想外でした。高配当銘柄として知られていて、株価も現在600円台と買いやすい状況でもあります。
アラカンはLINE証券の口座を作った際に3株分のプレゼントを貰った勢いで、詳細な分析をせず、低価格の化学業界のリーディングカンパニーとして購入をしましたが、今後とも長期的にホールドしていくかどうかについては、企業動向や推移をみて検討しようと思ってます。
閑話休題。ドコモTOB応募手続き書類が届きました
10月12日に日本電信電話とNTTドコモ連名で「株式会社NTTドコモ株式に対する公開買付に関する応募手続きのご案内」が届きました。これまで、TOB対象銘柄を保有していなかったので、初めての経験です。
両社とも準備万端だったと思いますが、TOB発表から2週間ほど経ってますので今さらな印象は拭えないですね。内容も読んでみると、想像通り、かなり面倒くさい手続きになりますね。既にドコモ株は市場売却済みなので、影響なしではありますが…。
それでは、また。