発電設備は火力中心。原発設備は持たず
アラカンが保有していより分析の第28回は、沖縄電力(9511)です。
- 発電設備は火力中心。原発設備は持たず
- 発電・送配電・小売を一貫して運営する、全国で唯一の電力会社
- コロナ禍で連結は減収も、単体では減収増益を見込む
- 沖縄電力の銘柄分析をしてみます
- セクター分散で電気・ガス業から選ぶなら沖縄電力もあり
沖縄電力株式会社は、沖縄県を事業地域とする電力会社で、沖縄本島と周辺37島に電力供給しています。本店を本当の浦添市に置いてます。
2009年度の販売電力量は74億78百キロワットで一般電気事業者10社中10位。一般家庭向けが39.5%、商業用その他が48.3%、大口産業用が12.2%で、大口産業用の内訳としては沖縄ならではの需要として在日米軍基地向け9.4%となっています。
供給地域は沖縄県内のみで、日本の電力会社の中で最小ですが、唯一、原子力発電所を持たない電力会社として、発電設備のほとんどは火力なので、重油価格の上昇の影響を受けやすい事業構造となっています。そのため、沖縄電力が発電に使用する石炭と天然ガスについては、特別措置で石油石炭税が全額免除されています。また沖縄県における大手企業の一つとして、沖縄県が約5%の株式を保有しています。
発電・送配電・小売を一貫して運営する、全国で唯一の電力会社
2020年4月1日より、同社以外の全国9地域の電力会社が有していた送配電事業部門は、発送電分離の法的措置により、それぞれ各地域別の一般送配電事業者各社に分社化されました。ただ沖縄電力は、事業規模が小さいとの理由により法的措置の対象外となっていて、現在も発電・送配電・小売の各事業を一貫して運営する、全国で唯一の電力会社となっています。
現在の同社のコーポレートスローガンは「地域とともに、地域のために」です。
会社概要(楽天証券より)
沖縄電力グループは、主に電気事業を行う会社である。【事業内容】沖縄県を供給区域として、発電事業、一般送配電事業、小売電気事業を行う。また、土木・建築・電気・管・電気通信工事の施工、電力設備工事の施工及び保守点検、電力設備の調査・設計及び工事監理、環境調査・地質調査及び用地測量、空調設備・衛生設備・電気温水器など装置の販売と施工、電気機械器具の販売、内燃力発電設備の工事・補修・受託運転、電気計器の修復及び検定代弁、電気設備の機材販売、車両・物品リース、電気機械設備の販売、損害保険代理店、コンピュータシステムの設計・構築・運用・販売、コンピュータ及び周辺機器の販売・賃貸借、データセンター事業・コンタクトセンター事業、電気通信回線の提供、電気通信設備の設置・保守、土地建物の管理・売買・賃貸借、水産養殖、風力発電、天然ガスの販売、自家発電システムの設置・運転・保守、省エネルギー支援サービスなど事業を行う。
コロナ禍で連結は減収も、単体では減収増益を見込む
そんな沖縄電力ですが、ポートフォリオのセグメントの一つとして、電力ガスを入れたいと考えていた中で、配当利回りも3%台と悪くなく、全国に偏在する電力会社10社の中で、規模は最小ですが、唯一、原発原子力発電所を持っていない点を好感して、SBIネオモバイル証券の定期買い付け銘柄の一つとして採用させていただきました。(その後、高配当銘柄として電源開発の単元株を購入しましたが…)
「会社四季報」直近号の解説記事を紹介いたします。
解説記事【後 退】コロナ禍で電力販売落ち込む。他社との競合による顧客離脱影響も。積極投資に伴い減価償却費も増加。燃料安先行し期ずれ差益膨らむが、会社計画は第2四半期以降のコロナ影響を織り込まず過大。
【ガス導管】基地跡地開発での需要増見込み、吉の浦発電所と当社本店近傍結ぶ工事着手、23年夏供用開始。CO2削減へ金武石炭火力で21年3月バイオマス混焼開始
電力会社も新型コロナウイルスの影響を相応に受けてます。第1四半期の決算短信では、2020年度の見込みを、連結では減収、経常利益は前年度並み、単体では減収増益の見込みですが、その影響算定困難とのことで、配当もあくまで予想値として、前年と同額の年額60円を見込んでいます。かなり慎重かつコンサバティブな会社ですね。
そんな沖縄電力を、アラカンの「高配当銘柄ポリシー」基づいて各指標をみていきたいと思います。
沖縄電力の銘柄分析をしてみます
まずは、私・アラカンの「高配当銘柄ポリシー」から
(このあたりの考え方は公認会計士・足立武志さんが記した著書『ファンダメンタル投資の教科書』を参考にしてます。よろしかったら、ご一読ください)
銘柄ポリシーに沿って、各項目をみてみます。
1、 売上推移とEPS
売上高、営業利益ともは2021年3月期予想値はいずれもマイナスです。ただ共に一桁台の微減にて、EPSは4.41%上昇の見込みです。営業利益率は設備投資の重さもあって、電力会社全体に低めにでます。5%前後の数字です。評価△
2、営業キャッシュフロー
営業キャッシュフローは多少の凸凹はありますが、一貫してプラス続きです。評価◎
3、配当性向
配当性向実績は、2018年度のみ70%台になりましたが、おおむね30~40%の間にあります。評価〇
4、ROEとROA
ROEは2021年3月予測値が4.59%、ROAは2021年3月予測値が1.69%と、かなり低めの数字です。評価△
5、PERとPBR
PERは12.7倍、PBRは0.58倍と、かなり割安な水準です。評価◎
6、自己資本比率
自己資本比率は37.7%とターゲットラインに届かず。ただ電力会社は総じて自己資本比率は低めです。評価〇
7、有利子負債倍率
有利子負債倍率は1.44倍。危険水域までは、まだまだ余裕はあると思われます。電力会社は負債が大きくなりがちです。例として関西電力は2.65倍、中部電力1.30倍、九州電力は何と5.68倍もあります。評価△
8、利益剰余金÷総資産
利益剰余金を総資産で割った数字は35.5%。利益剰余金はなだらかに積みあがってきてます。評価◎
最後に配当利回りは
配当は上記したように、2021年3月に年間60円の配当を予定してます。配当利回りは3.68%を示しています。そこそこ高配当銘柄です。配当金は2015年度までは18円台だったのが、2019年度には57円と急上昇して、その後は高止まり中といった状況です。関西電力、中部電力の年間配当が50円台なので、規模10番目の電力会社としては頑張って配当出してくれてます。(自己資本率は電力会社の中で現状ナンバーワンです)
セクター分散で電気・ガス業から選ぶなら沖縄電力もあり
さて、アラカンの「高配当銘柄ポリシー」に基づき、沖縄電力を分析してみました。電力会社は地域独占企業ですし、電気需要がなくなることはあり得ないので、以前は景気鈍感安定銘柄といわれてました。東日本大震災の後は、原発への投資が重いこともあっても、各社パっとしてない印象ではあります。そんな中、沖縄電力は原発をもたず、沖縄自体が人口増でもあり元気が良い等の背景もあって、それほど悪くない状況だと思われます。
電力会社は投資先行型の事業なので、財務的にはパっとしないので、無理に購入する必要もないのですが、セクター分散の意味から電気・ガス業からも1社選ぶなら沖縄電力ありかなと思っています。
アラカンとしては、SBIネオモバイル証券で1株定期買い付け銘柄の一つとし、コツコツ単元化を目指していくつもりです。
それでは、また。